高齢者向け住宅

働くシリーズ生の声⑤ 「母として相談員として」

公開日:2019年4月12日|更新日:2019年4月15日

サービス付き高齢者向け住宅の現地フロントスタッフ、アテンダー、管理者などの生の声をお届けするコーナーです。この仕事に就いた思いや、最近のサービス付き高齢者向け住宅の現状などを語っていただきます。

今回は神奈川県藤沢市にあるサービス付き高齢者向け住宅「ぐるーぷ藤二番館・柄沢」で家族と共に住み込みで相談員を務める『上原美和さん』を取材してきました。

目次

「高齢者住宅に子供の笑い声を響かせたい」

2年前「特定NPO法人ぐるーぷ藤」初のサービス付き高齢者向け住宅を建てる際、鷲尾公子理事長(現会長)より「NPOの理念でもある『高齢者も、障がい者も、子どもも一つ屋根の下』をここにも創りたいから子育て世代代表として子どもと一緒に住んで欲しい」と白羽の矢が立った。「自分が働く間入居者やスタッフが子どもを見守ってくれる安心感がありましたし、何より面白そうだったので快諾しました」と当時を振り返る。
今年小学6年と3年になる愛娘は「ぐるーぷ藤」のアイドル。「ご入居者の皆さんは子どもの話がたとえ聞き取れなくても、元気な様子をニコニコ見守ってくれる」と笑みをこぼす。敷地内で自転車の練習をしている時には、「がんばれー」とベランダから応援をしてくれたこともあるという。

きっかけは「強い思いとインパクト」

「ぐるーぷ藤」で勤務を始めたのは約10年前。当時育児をしながら働ける職場を探している中、たまたま参加した公民館のイベントで鷲尾理事長の講演を聞き衝撃を受けた。「地域や福祉への思いの強さや、意見をしっかりと伝える姿勢に同じ女性としてすごいインパクトを受けました」と思いを語る。
元々親の介護や出産を通して興味を持っていた「福祉業界」ということもあり、ぐるーぷ藤の門を叩いた。ヘルパー2級の資格を取得し介護職員として働く傍ら、前職の経験を活かし日中は法人のPR・広告物作成やシステムメンテナンスなどを行い、夜は管理人として物件内に常駐している。「法人の福祉への思いを少しでも伝えたいのでチラシや広告を作る時には気合が入ります」と熱く語る。

「安心の住まい」のカギは、施設棟との連携

サービス付き高齢者向け住宅に住み込んでいるので、夜間に対応をすることもある。誤通報もあるが、病院まで付き添う緊急性の高い案件が舞い込むことも。日頃から顔を合わせている入居者なので、日常の会話の中で持病や直近の体調などを把握することで、万が一にも最善を尽くせるよう備えている。
時には看取りをすることもあるが、日々の様子やどんなことに感動しているかを最期の一瞬まで見ているので「最期まで楽しそうだったと伝えると、ご家族も喜んでくれる」と目尻を光らせる。
サービス付き高齢者向け住宅募集の他にレストランや介護施設を隣接し複数のスタッフが助け合うことで、「ご入居者を多方面からサポートができます。ただ、お節介過ぎないようには注意をしています」と苦笑。

母親として働きやすい環境

「ぐるーぷ藤は今までで一番働き方に柔軟な法人」。女性が多い職場ということもあり、家族の介護や子育てなどに柔軟な対応をしてくれるという。
ホームヘルプ、老人ホーム、グループホーム、地域の居場所、一般開放のレストランなど様々な事業を行うがスタッフの大部分は地域の主婦が担っている。NPO自体も元々地域の主婦が集まって始まったということもあり、スタッフの地域愛と結束は強い。地域のイベントや防災活動の拠点としても積極的に物件を提供している。「他県の出身ですが、地域をより良くしていきたいという経験豊かな方が多い藤沢の魅力に今ではすっかりはまっています」と藤沢愛を熱弁。
今後も子供から高齢者までが手を取り合える地域と物件環境を目指して法人一丸となって取り組んでいく。
「交流の第一歩として、わが子には『入居者のおじいちゃん、おばあちゃんには元気に挨拶するように』と教えています。やはり挨拶が基本ですね」と母親の顔を覗かせた。


ぐるーぷ藤二番館・柄沢 サービス付き高齢者向け住宅運営情報
編集協力 樋口彰治(高齢者住宅協会/神奈川ロイヤル株式会社

公開日:2019年4月12日|更新日:2019年4月15日

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