平均余命~高齢期のライフプランを考える重要指標~

公開日:2023年6月7日|更新日:2023年6月15日

平均寿命」と「平均余命」よく聞く言葉ですが、わかっているようでわかりづらい・・・という声をよく聞きます。
平均寿命と平均余命の違いについて、間違った理解をしたことで、高齢期のライフプラン選択に大きな差が出てしまうことも!!

本記事では、高齢者住宅協会が、セミナー&相談会でよくご質問をいただく「平均寿命と平均余命の違い」について、2022年7月に発表された令和3年度簡易生命表※をもとに、相談員の回答を紹介します。

※簡易生命表が更新されると、各年齢の平均余命も更新されます。

目次

平均寿命と平均余命、ふたつの言葉の違いは?

平均寿命と平均余命は、厚生労働省より毎年「(簡易)生命表」により発表されます。
毎年発表される「簡易生命表」では、10月1日現在の推計人口をもとに推計し、国勢調査が行われる年には10月1日時点の国勢調査結果を用いてより詳細な「完全生命表」が発表されます。

平均寿命=0歳の人が、今後何年生きられるかの平均
平均余命=ある年齢の人が、このあと何年生きられるのかの平均

つまり、「平均寿命」とは0歳の平均余命のことで、これは、2021年に生まれた人が全員同じ環境や健康状態で生きると仮定した場合の理論値であり、実際には個人差が大きいものです。

2021年に日本で生まれた人の平均寿命は、男性が81.47年、女性が87.57年となっています。(「<厚労省:平均寿命(2022)が男性 81.47 年、女性87.57年に」)


私たちのセミナーに参加した75歳の男性から「平均寿命が81歳だからあと6年分のお金があればいいのか」という質問がありました。
この質問に対して相談員がどう答えたか、次の段落で見ていきましょう。

75歳を迎えた男性があと何年生きるか?全国の平均は12.42年

2021年の簡易生命表における、女性75歳の平均余命は16.08年(前年-0.14ポイント)、男性75歳の平均余命は12.42年(前年-0.10ポイント)となっています。

セミナーでご質問があった75歳の男性は、平均であと12.42年生きることになりますので、手持ちの預金を6年(平均寿命ー現在の年齢)で使い切ってしまうと、平均値まで生きる場合に6.42年分も生活資金が不足してしまいます。

それを聞いたこの男性、「では、手持ちの預金を12.42年で使い切るライフプランを立てれば十分なのですね!?」と質問が続きました。
相談員の回答を、次の段落で解説します。

平均余命から考える!あと何年分備えれば大丈夫か!?(男性版)

平均余命は、あくまでも平均であり、個人差が大きいものです。
この男性の余命が平均よりも短い可能性もありますし、逆に長い可能性もあるのです。

ですので、「手持ちの預金を12.42年で使い切るライフプランで大丈夫か?」というと、どこまで慎重に備えるかは個人差があるものの、答えはNOとなります。

次に、生命表上の死亡年齢の分布(男性)をみていきます。

死亡年齢の平均値は平均寿命ですので81.47年です。
一方、生命表上で最も死亡者が多い年齢は88歳です。
年齢別死亡者数を積み上げていくと、お亡くなりになる方が5割を超えるのが85歳、8割を超えるのは92歳、9割を超えるのは96歳です。

つまり、先のセミナーの75歳の男性への回答とは、「平均値は12.42年ではあるものの、同年代の男性の中で上位2割の長寿まで備えようと思えば92歳まで、あと17年分備えることが必要です」となります。

女性の場合はさらに長生きですので、別の記事で解説します。
平均余命(0歳の平均寿命)は年々伸びていきますので、早めに住まいと暮らしの備えをしていきたいものです。何から考えたらいいかわからない!という方は、高齢者住宅協会のオンライン相談窓口をご活用ください。

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公開日:2023年6月7日|更新日:2023年6月15日

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