できる限り健康で自立した生活を楽しめるサービス付き高齢者向け住宅~サンタハウス弘前公園の暮らし~

サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造や見守りサービスなどにより、高齢者が安心して居住できる賃貸等の住宅のことで、その運営には様々な特徴があります。
この記事では、青森県弘前市の「生涯活躍のまち構想」のもと、アクティブシニアの地方移住促進をその原点として、社会福祉法人弘前豊徳会が運営する、「サンタハウス弘前公園」の暮らしについて、施設長の阿保英樹さんにお聞きしました。

目次

1.サンタハウス弘前公園の立地と建物

サンタハウス弘前公園は、弘前市「生涯活躍のまち」事業の中で生まれたサービス付き高齢者向け住宅。
運動特化型デイサービスを軸に、地域交流、健康増進、移住体験など、さまざまな取り組みを行っています。

特徴の1つは、立地と建物です。
日本有数の桜の名所「弘前公園」から徒歩2分の立地で、毎日の散歩を日課とする入居者さんも多く、市内循環バスなど公共交通の便が良いので、自家用車がなくても(免許返納しても)自分らしい暮らしが可能となっています。
弘前市は雪国で、高齢者にとって一戸建ての雪かきは身体への負担が大きくなりがちですが、ここでは雪かきの心配もなく、安全に安心して暮らすことが可能です。

また、2019年3月に竣工したサンタハウス弘前公園は、北東北(青森・秋田・岩手)初のZEB(ネット・セロ・エネルギー・ビル)として、高性能の断熱材、複層ガラス、高性能エアコンを設置した、高効率の省エネ住宅となっています。
37室はすべて30㎡以上で、バス・トイレ・キッチン完備、冬でも暖かくバリアフリーの高齢期に適した良好な住環境が用意されています。

2.サンタハウス弘前公園の移住体験

サンタハウス弘前公園では、弘前市と連携した「弘前の暮らし体験」プログラムが展開されています。青森県外から弘前市への移住を検討する50歳以上であれば、空室がある場合、4泊5日~13泊14日の期間内において移住体験が可能です。単身一泊3000円、滞在中に弘前の魅力を体験するプログラムに参加することが条件となっています。

全37戸のうち10戸は家具・家電・日用品を備え付け、引っ越し作業不要で入居できるお部屋が用意されています。移住体験と、雪国ならではの越冬ニーズに対応しています。

移住体験から移住に至った実績は計13名。これまでに、東京都、北海道等8都道府県からの移住者を受け入れてきた実績があります。

3.地域の架け橋となる地域交流の展開

運動特化型デイサービス

1階には、併設のデイサービスがあります。サンタハウス弘前公園のデイサービスは、「いつまでも元気に若々しく」いるための短時間型・運動特化型デイサービスで、お食事も入浴もありません。
施設には、パワーリハビリテーション機器(筋肉増進ではなく、立ち上がる、歩くなど、介護予防のためのトレーニングマシン)が設置されていて、65歳以上の弘前市民は、介護認定を受けていない人でも、週1回パワリハ運動教室に通うことができます。弘前市内の一般介護事業利用者の半数以上は、サンタハウス弘前公園を利用しているのだそうです。
さらに、デイサービス・パワリハ運動教室がお休みの日曜日には、設備を一般開放しており、年齢制限なく最新機器を利用できるようになっています。

オープンキッチンのあるイベントスぺース

月1~2回、地域住民、入居者が一緒に参加できる様々な交流イベントを実施しており、入居者と子供が一緒に楽しめる「うそんこうんどうかい」、郷土の民芸「金魚ねぷたマスコット作り」、地域住民の地域デビューの場としての「はじめてカフェ」、オープンキッチン設備を活かした「シニア男性向け料理教室」、津軽料理教室など、多種多様なイベントが展開されています。

さらに、令和4年度からは、弘前市学生インターンシップ事業「まちなかキャンパスプロジェクト」と連携し、学生のボランティアサークルと連携し、通年4回のイベント「あずましの集い」も開催されています。
弘前大学には医学部があることから、医療・福祉系学生とのコラボ企画で人生会議の模擬体験が行われました。

4.多様な視点からみたサンタハウス弘前公園

ご入居者だけでなく、学生さん、地域住民、移住体験者など、様々な人が行きかうサンタハウス弘前公園。サンタハウス弘前公園の地域交流スペースを舞台に、これまで、地域活動の受け手側だった住民が、はじめて講師や演者となって活躍する「地域デビューの場」として活用してもらうスタイルが根付いているのだそうです。
・将来カフェ運営に挑戦したい人が1日限りの模擬営業
・小学生が入居者相手にウェイトレス体験でお手伝い
・障害者施設利用者が趣味の糸かけ曼荼羅の講師に挑戦

「サンタハウス弘前公園前の取組は、結果として、フレイルになりかけた高齢者が地域とつながり続けながら集まって住む場所となりました。できる限り健康で自立した生活を送るために、高齢者に伴走しつつ、適切なタイミングで介護サービスにつなぐ、架け橋のような存在を確立させていきたい」と施設長の阿保さん。
弘前発の取組に目が離せません。

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